今回は、認定治療院よりいただいたご質問をシェアします。
【ご質問内容】

お世話になっております。
事故の患者さんについてお伺いします。
信号のない交差点で、主道路に出た際に横から来た車と衝突したとこのことです。
警察の現場検証の結果、飛び出しと判断され、過失割合は10:90で、患者さんが90です。
ただケガがひどいため、現在、当院で治療を行っていますが、「過失割合が3割以上でないと自賠責保険が適用されない」と言われました。
この場合、健康保険を利用して治療を行うしかないのでしょうか?
【回答です】

〇〇先生、こんにちは!
いったい誰が「使えない」と言ったのでしょうか?
自賠責保険は被害者救済を目的としており、過失が0でない限り補償される仕組みです。
推測ですが、今回のケースでは、患者さんに重大な過失があるため、損害賠償額が減額されるため「適用されない」と表現された可能性があります。
重大な過失とは、請求者に7割以上の過失がある場合をいい、傷害に係るものは、7割以上で、2割の減額となります。
つまり、入通院慰謝料・治療費・休業損害等の傷害に関する請求の場合は、7割以上の過失があれば、120万円の限度額が96万円となると言う事です。
今回のケースでは、患者さんの過失割合が90と高いですが、100ではありませんから、担当者の誤解である可能性が非常に高いです。保険会社の担当者に詳細を確認し、適切な説明を求めることをお勧めします。
因みに、重過失による減額の割合はこようになっています。
被害者の過失割合 | 減額割合 | |
---|---|---|
後遺障害または死亡に係るもの | 傷害に係るもの | |
7割未満 | 減額なし | 減額なし |
7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割以上9割未満 | 3割減額 | |
9割以上10割未満 | 5割減額 |
ここで注意が必要なのは、自賠責でいう「被害者」とは一般的な意味の被害者ではなく、「ケガをした人」を指す点です。
つまり、過失が10割でない限り、いわゆる「加害者」とされる方も、自賠責上は「被害者」として補償を受けることが可能です。
また万一、自賠責保険が適用されないという結論になった場合でも、健康保険を利用して治療を進めることは可能です。
ただし、交通事故での健康保険の利用には一定の手続きが必要ですので、事前に患者さんが加入されている保険者(健康保険組合や国民健康保険)にご確認ください。
〇〇先生は加盟店(認定院)ですので、ご不明な点があれば、直接弁護士に無料で相談することもできます。
患者様にとって最善のサポートができるよう、どうぞよろしくお願いいたします。
砂田龍人