本日は、むち打ち治療協会の認定治療院よりいただいたご質問をシェアします。
【ご質問内容】

少し前の話ですが、当院にご来院いただいた交通事故の患者様の中に、事故後の運転に不安を感じ、タクシーで通院されていた高齢の女性がおられました。
しかし、一ヶ月ほど経過した時点で、保険会社から「交通費が高額になるため、近隣の接骨院へ通院してください」との要請がありました。
この患者様は弁護士特約に加入されていなかったため、無料相談という形で弁護士の先生にご相談されましたが、最終的には転院することとなりました。
このようなケースにおいて、被害者が過失なしの場合でも、交通費の補償は自家用車での通院を前提とされるのでしょうか?
また、このような場合の適切な対応について、どのようにすべきだったのでしょうか?
ご教示いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
【回答です】

〇〇先生、ご質問ありがとうございます。砂田です。
まず、交通事故の被害者が通院時にタクシーを使えるかどうかですが、これは過失割合ではなく、ケガの状態によるというのが基本的な考え方です。
私の経験ですが(念のため弁護士にも確認済み)、
✅ 運転がとてもできる状態ではない場合 → タクシー利用が認められることが多い
✅ 症状的に運転が問題ない場合 → たとえ過失がゼロでも、タクシー代は補償されないことがある
となることが一般的となるため、悔しいですが、症状的に運転に問題がないと判断されたた場合、たとえ過失がゼロでも、タクシー料金は認められないでしょう。
今回のケースについて
ご相談のケースでは、保険会社が 「タクシー代が高額すぎるため、近くの接骨院へ転院するように」 と求めていますが、これが正当な要求なのかどうかを考える必要があります。
交通事故の被害者であっても、通院にかかる交通費については 「必要かつ相当な範囲」で補償されるのが一般的です。
そして通常の交通費として認められるのは、
✅ 自家用車での通院:ガソリン代、駐車料金などが対象
✅ 公共交通機関の利用:電車やバスの費用が対象
✅ タクシーの利用:原則として、やむを得ない事情がある場合のみ認められる
つまり、事故の影響で運転が困難な場合でも、タクシー代がすべて認められるとは限らないということです。
ご相談の「事故後、自分で運転するのが不安…」というのは判断が難しいところですが、裁判例の中にはタクシー代の6割を保険会社が負担し、4割を自己負担とした例もあり、全額補償ではないですが、分担でなら補償してくれるケースもあります。
と考えると、今回の患者様(高齢の女性)のケースでは、
🔹 通院を始めてまだ1ヶ月ほどだった
🔹 通院頻度が週2回程度で、決して多すぎるわけではなかった
🔹 高齢であることを考えると、移動の負担も大きかった可能性がある
こうした事情を考えると、もう少し粘り強くタクシー通院の必要性を伝えてみてもよかったのではないか、と思います。
今後、同じようなケースがあった場合は…
もしまた似たような状況になったら、
✅ 医師に診断書を書いてもらい、「運転が難しい」という医学的な理由を示す
✅ 通院の頻度や移動手段の選択肢が限られていることを保険会社にしっかり伝える
✅ 弁護士特約があるなら早めに相談し、交渉の選択肢を広げる
こうした準備をしておくと、タクシー利用の正当性をもっと強く主張できる可能性がありますね。
また何か気になることがあれば、いつでもご相談ください。
砂田 龍人